福井県喜多方市/下柴彼岸獅子頭の新規制作依頼
<制作日記>
コロナウィルスの爆発的感染の真只中の日々もありました、制作に必要である材料も特殊な物ばかりであり何度も試行錯誤しては幾つもの壁を乗り越えて来た日々が血が滲むように頭の中に現れます。
私の長野県南木曽の仲間たちには雨や雪の中でも装飾に必要な野鳥捕獲にも気が付けば五年以上の日々を費やしたことも今となれば夢の様にも感じられますね。不可能を可能に変えるのは情熱と信頼を超えたものがなければ辿りつくことは出来ないと実感します。私的にも本当にあの日々があったのか?と夢みる感覚さえありますよ。
一貫張りの彼岸獅子を木彫制作する内容も今まで経験してきたものの中でも日々難関が発生するものでした。
私の志として本来あった日本古来技法を駆使して再現、長年学んだきた美術的要素を大切に新旧が主張し過ぎず調和した造形と色彩を考えています。
近年、私の工房に舞い込んでくる修復が必要となる獅子頭には科学的材料や素材が用いてられて修繕したり制作されたものが多く見られるようになっていますがこれらは本来の固有技法での修復は不可能になり、文化風習や土地の歴史の色も消滅することに繋がってしまいます。
これは、どんな品にも言えることですが使い手、売り手、作り手のモラルや考え方にも大きな問題を抱えていると思います。
また、私の手仕事の小さな歴史を振り返っても30年前、10年前でも天然素材の確保を困難を要するものばかりであり、やはり自然環境変化の影響は脅威ですし、材料や道具の生産者も激減に加え、地方の過疎化も大きな問題です。
> 今回の彼岸獅子は全国的には初めてご覧になる方もいるかも知れませんが獅子頭、装飾品、指物、長持ち、反物衣装制作など全ての工程を一人でに長い時間をかけて手掛けて参りましたのでゆっくりご紹介して行きたいと思います。
荒神堂/鈴木富喜